4incスキナー。4mm厚のスーパーゴールドⅡに染めた鹿の落ち角ハンドル。エングレーブは星山文隆氏。
はっきり言ってこれでベストシースナイフ賞が貰えるとは思わなかった。
猟で獲物の解体用にと、自分で使う事を前提に作ったので、スタンダードなモデルとはかけ離れた形状だった。
実際審査の寸評を見るかぎりでは、この形状には賛否両論だった様だ。
製作途中でちょっと書いたが、このナイフに使った鋼材は、実は岡山の吉川さんに頂いた端材のスーパーゴールドⅡだった。
五月に安来に行った時に吉川さんとスーパーゴールドⅡについて話をしたのだが、その事を覚えていてくれて、ありがたい事に後でわざわざ送ってくれたのだった。
スーパーゴールドⅡについては試したい事があったので、貰った鋼材で急遽作ったのがこのナイフだった。
ちょっとヘアラインが入れにくくて自分としてはあまり良い出来ではなかったが、ブレイドラインに合わせたヘアラインは意外と評価が良かった様だ。
ハンドルは何気に転がってた、染めた落ち角を使う事にした。ワイドヒルトにしたのは、髄が出てしまうので、なるべく目立たない様にするためだった。
たまたま星山さんに見せたら、ワイドヒルトだったので「練習用に彫らせろ~」って事になり、そんじゃお任せで適当にお願いってやってもらった。だからタダだったのだw
彫りあがって見たらなんとなくいい感じで、「これコンテストに出してみろよ」って星山さんが言うので、とりあえず出してみる事にした。
実はそうでなければ、別の物を出そうと思っていたのだ。
色々と偶然が重なって出来たナイフだった。
吉川さんと星山さんには本当に感謝です。
ブレイドの形状とハンドルの付く角度は色々検討してこの形になった。
湾曲したブレイドはスキニングで広い範囲のエッジが使える様にと、切っ先とその周辺のブレイドバックの形状は、皮を切り裂く時に肉や内蔵に切り込まない様にと考えた。
カッコ的にはもうちょっとブレイドの身幅を持たせた方がいいのかもしれないが、肉の切り分けを考えるとやや細身の方がいいと思う。
そもそもこのナイフの元になったのは、昨年のjkgの鍛造教室で作った鍛造スキナーだった。
鍛造スキナーは作ったときは結構気に入っていてのだが、実際使ってみると色々と改良点に気がついた。
結局手に持っただけではそのナイフの良し悪しは分らないのだな。使ってみて初めて分る事が多い・・・
解体作業は厚手のゴム手袋をしてやるのだが、そのためハンドルはナイフの大きさの割りにボリュームを持たせている。
そのままではゴロゴロしがちなので、前半部をコークボトル状に絞り込んでいる。素手で持ってもなかなかいい。
妙な鹿角ハンドルも意外と好評だった。
ナイフメーカーの中にも、何で染めたのか不思議に思った人もいた様だ。
落ちてた角を革用の染料で染めただけと説明すると、みんな意外な顔をして面白かったw
鹿の落ち角使って入賞した奴も珍しいかもしれない。今回の応募作品の中で、一番制作費が安かったかもしれないw
シースこそラブレススタイルだが、そこから出てくるナイフは妙な形状で、意外性があってよかったか?
もう一度同じ賞が取れれば実力は確かなものという思いがあったので、あわよくば二つあるメモリアル賞のどちらかが貰えたらと思っていたが、思わぬ受賞だったので驚いた。
何れにしろ今回の受賞は運が良かった様に思う。
賞を下さったjkgの関係各位の方々には感謝です。
そして自分のナイフ作りにおいて、今まで関わってくれた方々にも本当に感謝です。
しかし次の目標がまた高くなったな・・・とりあえずもう一度同じ賞か・・・いや待てアートナイフ賞とデザインアイデア賞もあるな・・・意表をついてフォールディングナイフに行くかw
まあ、貰えるなら何でもいいけどさ。あわよくばでいいんだからw
鉄工ヤスリでナイフを作る。必要なのは、手間と時間と根気と努力・・・ 自作ナイフなんて物好きのやる事だなぁ・・・
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10 件のコメント:
よくよく見るとなるほどと思えてくる形ですね!
ハンドルの垂れ角も、解体作業で手や腕が
自然な角度で力を入れやすそうですし、
ブレードバックのラインが刃幅の細さと
肉通りや刃先の逃げの良さを思わせられます。
見るほどに良いナイフですね!
次はものずきさんのおもしろナイフも見てみたいな~
HILTS
ロンデール時代のラブレスの
匂いがチョッとするなw
デ
受賞おめでとう!
カスタムナイフの評価って、思っても見ない事が良いと言われたり、逆も有ったりで想像だにしない事もしばしばです。複数の審査員が評価しで"良いナイフ"って言う事での受賞だし協力者がいたとしても作ったのはものずきさん本人、もっと胸はって次を目指して下され!!
そう言ってもらえると嬉しいですw
決して万人受けするナイフじゃないと思ってましたが、こんなのも面白いですよね。
次の面白いナイフは難しいな・・・w
ヒルトがスラントしたバナナスキナーなんかがイメージ的には近いかもしれないねw
やっぱり他人の批評は大切ですね。
ある程度は客観的に自分でも考えますが、どうしても思いつかない部分ってあります。
この様なコンテストは非常にいい機会ですね。
段々上の賞を貰える様になってある程度の自信は付きましたが、まだまだな部分もあるのは自分がよく分ってますw
さらにいい物作れる様に頑張りますw
改めておめでとうございます。
鹿角をこういう風に削りこむという発想は自分には皆無でした。
いつも模様を残すことばかり考えていまして。
大胆なデザインのブレードも実用性の上に立ったものだと思いますし、狩猟の経験が活きているのかと想像します。
雄
改めまして、おめでとうございます。
ものずきさんのは実用本意のナイフですね。
使う側の意向がそのまま形になった結果なのかな?って思います。実用本意のデザイン、私には絶対無理な事です。羨ましいです。
あと、とても丁寧でキレイな作り込みですね。ひとつひとつの工程がキチッとされているのが伺えます。凄いと思います。
来年は…ぜひぜひ大賞を目指して頑張って下さいね〜。
私も頑張りますよ。
雄さん、ありがとうございます。
サンバースタッグみたいな高価なものだと削るのもったいなく感じてしまいますが、落ちてた鹿角だと惜しげもなく使えていいですw
そもそも微妙な形状なので、削り込んでしまわないと使えないってのが本当のところですが・・・
ひょんな事からはじめた狩猟でしたが、ナイフに対する考え方が大きく変わりました。
Ben2さん、ありがとうございます。
自分の場合は結局自分で使う事が前提になってしまうので、デザインの幅がどうしても狭くなってしまうんですよね。だからあまり色々なデザインの物を作る事ができないのです・・・
「ひとつひとつの工程がキチッと・・・」ってのはそう見えてるだけで、意外といい加減で「結果よければ全てよし」みたいな、最終的につじつま合わせた作り方なんですよw
大賞はあまりにも目標が高すぎるので、まあまた気楽にやって行こうかと思いますw
賞~ホルダ~の凄腕常連が居過ぎて、上を狙える気がしない(笑
困ったもんだな~(爆
今年のフォールディングナイフ勢は凄かったですね。
大賞と優秀賞が同時受賞だし、二つのメモリアル賞もフォルダーでしたものね。
入賞外のフォルダーも素晴らしいものでした。
フォルダーはレベルがかなり高いですよね・・・
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