H1は希硫酸に数日漬けたがほとんど腐食しなかった。
仕方がないので、今度は塩化第二鉄を使ってみた。
何でこんなものを持ってるかと言うと、昔電子工作をやっていてプリント基板を作るのに使っていた。
久しぶりに引っぱり出してきたら、瓶の中で潮解して上の方が液化していた・・・
今度は結構早く腐食した。
赤熱部は腐食しやすくなってるらしく、色合いが黒ずんでいる。
金属顕微鏡で組織を見た。
先ずは正常部の600倍。横の画角が約100μm。
研磨痕が残っていてはっきりとはしないが、確かに炭化物と思われるものは見えない。この倍率でははっきりしないが、基地の鉄の結晶粒界と思われる筋が見られる。
こっちは300倍。
この倍率だと基地の結晶粒界がはっきり見える。比較的大きい。
炭化物がないのでピン止め効果が効かず、熱処理で基地の結晶粒粗大化が抑えられないのかもしれない。
これは75倍。
基地の結晶粒界はある様だが、炭化物がないので全体として見ると組織は細かいと言える?・・・
確かに以前H1のナイフを使った感じでは、研ぎ上げると滑らかな刃が付いて、印象としては組織が細かそうだと思った。
しかし切れるけど長続きせず、総合的な切れ味は今一な感じがした・・・
赤熱部の600倍。
写真は研磨とエッチングの状態によりはっきりしないが、肉眼で観察する限りでは正常部とそんなに大きな違いがない。
前の投稿のコメントで書いたが、やっぱりH1って析出硬化系のステンレスなんじゃなかろうか。
析出硬化系のステンレスでこれだけ硬さの出るタイプがあるんだろうかとググったら、シリコロイXVIというのがあった。HRc57ってのも十分ありえるみたいだ。
硬さの出る原理が通常の鋼と違うので、今一特性が分からない。
炭化物がなく見た目は基地の鉄だけで出来てる様なものだ。結局砂利の入ってないセメントだけのコンクリみたいなものなんだと思う・・・
鉄工ヤスリでナイフを作る。必要なのは、手間と時間と根気と努力・・・ 自作ナイフなんて物好きのやる事だなぁ・・・
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2 件のコメント:
こんばんは
素晴らし内容ですね(≧▽≦)
少し真理の扉が開き始めた気がします!
刃物には不向きでも、それ以外の道具にはマッチしそうなモノがありそうですね!
色々とテストしていきたいです(^_-)-☆
H1は切れ味を追求する方面には不向きかもしれませんが、錆びないという特性を生かせば刃物として十分使える物です。
要は特性を理解して使えばいいのだと思います。
鋼材は種類によってそれぞれなところが面白いですねw
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