せっかくの連休なので、今度は南の方へ出かけてみた。できたら九州まで行ってみようと思っていたが、広島まで来た所で渋滞にあって挫折した。しょうがないから広島見物をしてきた。
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呉の大和ミュージアムに行った。
何故に大和なのか?と思ったが、単に戦艦大和誕生の地を記念してというより、大和を造った事により培った生産技術が、戦後の日本の各種工業分野で生かされて、今も脈々と受け継がれている事を語継ぐための意味が大きいらしい。
大和が就役した頃には海戦の主力が航空機に変わり、持てる力を発揮する事無く、最後は無謀な作戦で多くの人命と共に沈んだが、大和や武蔵を造った事は決して無意味ではなかったのだろう。
しかしでっかい模型だ・・・
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大和ミュージアムの隣にある海自の資料館にも行ってみた。
退役した実物の潜水艦が展示してある。通称は「鉄のくじら館」と言うらしい。
潜水艦の中は見学できる様になってる。
こんな狭い中で何日も任務に就くのは大変な事だ。
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潜水艦の表面って意外とデコボコしてた。表面はもっと綺麗に削って仕上げてあるのかと思ったが、熔接ビードなんかは意外とそのままになっていた。
そう言えばメンテナンス用の蓋みたいなのは無かったみたいだが、エンジンなんかに重整備が必要な時はどうするのだろうか? そのつど外板を切取るのか・・・?
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機雷掃海用のブイ。落書きじゃないよな?w
館内は海自の掃海活動や潜水艦の歴史について展示してあった。
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折角広島まで来たので、厳島神社に行ってみたかったが、渋滞と日が暮れてしまったので、対岸から眺めただけで諦めた・・・
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原爆ドームに寄ってみた。すでに夜になっていたが以外に人が沢山来ていた。
ライトアップされて幻想的な演出されている。悲劇的な場所である事を一瞬忘れてしまいそうだ・・・
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次の日に江田島を散策した後に、仁方に寄ってみた。国産のヤスリのほとんどがこの地で作られている。
この通りの両側にヤスリ工場が建ち並んでいる。一見普通の工業団地で、何処にでもある町工場の様に見える。知らなければヤスリを作ってるなんて、外からは全く分からない。
壺三の工場が一番大きいみたいだ。
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自作スレで評判のいい北岡ヤスリもこの一画にあるはずだと思い出し、周辺をぶらぶらしていたら、「何処かお探しですか?」と声をかけてきたのが北岡ヤスリの若旦那だった。「よかったら見てってください」との事で、工場を見せていただいた。
工場内は大小様々なヤスリの目を切る機械が置かれていて壮観だ。
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趣味でナイフを作ってる事を言ったら、色々とヤスリを出してきて見せてくれた。
せっかくだから何本か買ってく事にしたら、色々見ているうちに次々と欲しくなり、結構な本数になってしまった。かなり安くしてくれた上に、有り難いことにB級品のヤスリを数本と柄と真鍮ブラシをおまけしてくれた。
色々話をしていたら、上野の深沢ヤスリの深沢さんをよく知ってるとの事だった。仁方にも手切りヤスリを作れる職人さんが、まだ二人ほどいるらしい。
最近は材料のSKS8の入手が難しくなっているとも話していた。国産ヤスリの生産量が年々少なくなり、大手の製鋼メーカが作りたがらないらしい。出る量が少ないと商売にならないのだろう。「バリ取りだけなら100円のヤスリで十分だってなっちゃうからね・・・」と嘆いておられた。
HPの親父さんはお元気ですか?と聞いたら、この日は奥で昼寝中だった。85歳になる今も元気で働いているとの事。お会いできなくて残念・・・
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帰る途中に岡山の備前長船刀剣博物館に寄ってみた。
「お守り刀展覧会」が開催されてた。去年東京で開催されてたのを見に行ったのを思い出した。なかなか刀を見る機会なんてないので、この様な展示会はいい機会だ。
裏手に鍛刀場と刀職の作業場があり実際に作業しているのを見学できる様になってる。
刃物板大御所の剣氏もここで作業しているらしいが、この日は他の行事で出かけているとの事で会えなかった。残念・・・
この日いた研師のお兄ちゃんがなかなか面白い人で、刀とその背景の歴史雑学が色々聞けて楽しかった。
いつも思うが、地方には意外に素晴しい施設があるものだと感心する。機会があったらまた行ってみたい所だ。
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刀剣博物館の近所にある「備前長船日本刀伝習所」に寄ってみた。
「これから焼入をやるとこだから見てってよ」との事。ちょうどいい時に行ったもんだ。
普通ならなかなか見せてもらえないもののはずだが、たまたまおいら一人だけだったのがよかった。
大勢のお弟子さんが見守る中、まさに真剣勝負といった感じの作業風景だった。
この上田祐定刀匠はとても気さくな方で、話もなかなか面白い。自家製鉄にこだわって作刀されていて、砂鉄集めの話は興味深かった。
刀のほかに包丁も作っている。「弟子たちを食わすためにも、自分の生活のためにも、包丁などを作って売らないとやっていけないんだ」と話していた。確かにそうなのだろう。しかし包丁も自家製鉄した鋼で作っているとの事で、値段も思ったほど高くは無い。手間を考えると凄い事だと感心させられた。