2017年1月25日水曜日

そういう事か

 スーパーゴールドⅡ、S30V、カウリYと使ってみたが、同一の熱処理条件だと硬さは概ね
S30V<SPGⅡ<カウリY
の順であった。
炭化物傾向の大きいVの含有量が多いと、焼き入れ温度を高くする必要があるのでそのためかと思っていた。
しかし理由はそれだけではないのかもしれない。
 画は含有元素に対するマルテンサイトに変態するための臨界冷却速度の変化のグラフ。
ステンレス鋼の焼き入れが空冷で出切るのも、Cr含有量が多く臨界冷却速度が遅くなるためだ。
一部例外があるが、合金元素の含有量が多くなると、概ね臨界冷却速度は遅くなる。
これで注目したいのはV含有量が1%を超えた場合。
1%未満は臨界冷却速度は遅いが、1%を超えると極端に速くなる。
SPGⅡ、S30V、カウリYともVやMoの含有量が多く、焼入れ温度が高めでないと硬さが十分出ない事は色々やってみて分かった事なのだが、それ以外に冷却速度も影響しているのかもしれない。
そういえばS30Vのデーターシートの条件は油冷になっている。
武生のSPGⅡの資料には真空炉や雰囲気炉を使用して熱処理を行う場合、HRc硬さが1~2低くなると書かれている。
真空炉の場合は冷却はガス噴出による空冷だ。冷却速度が遅い。
・・・と思ってクルーシブルのS30Vのデーターシートをよく読んでみたら書いてあるだな・・・
真空または大気冷却は最大でHRc1~2下がる事があるってw
なるほどV含有量が多い鋼材は焼入れはソルトバスでやって、冷却は塩浴か油でやった方がいいのかもしれないな。
S30Vは硬さが出にくくて何でだろ?と思っていたが、そういう事だったか。
V含有量の多い鋼材は使いにくいだな・・・
分かってしまえばなんて事はないし、知っている人にとってはどうという事もないのかもしれない。
しかし実際やってみて分かるから面白いんだよな。
だから飽きずに続けてるのかもしれないw

4 件のコメント:

  1. なるほど~
    これは非常に興味深く面白い考察を聞けました!!

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  2. こんな事に興味を持つ人がどれぐらいいるのかな?と思ってました。
    あひるさんも好きですねw

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  3. 鋭角に砥いで刃が長持ちする最高の
    鋼材やいかにw
    デ

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  4. どういう使い方するかだよなw

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