D2(日立のSLD)のテストピースを作った。
マトリックスアイダでD2の条件とATS34の条件で熱処理してもらった。
先ずは生材の組織を。
横の画角がちょうど100μm。
たまたま一次炭化物の濃い部分を撮影した事もあって、えらくでっかい炭化物が沢山写ってる。大きなものでは20μm近くありそうだ。
横方向が圧延方向になる。この大きさでは拡大しすぎて分かりにくいが、倍率を低くすると圧延方向に縞模様になっている。
Ⅾ2の条件で熱処理。
エッチングの具合や撮影箇所の都合で、生材と雰囲気が違うが、基本的に大きな違いはない。
ATS34の条件で熱処理。
ちょっとわかりにくいが基地の鉄にひび割れの様なものが見られる。
SLDをATS34の条件で焼入れすると過熱になる。
基地の結晶が成長して、粒界がひび割れの様に写っている。なんでこんな事をやってるかというと、これが見たかったから。
もうちょっとはっきり写真に撮りたかったが、表面の研磨とエッチングに工夫が必要だな・・・
D2は炭化物の主体がCrによるものなので、炭化物自体はMoやVなどのものから比べると硬さは低い。研ぎやすいとよく言われるが、そういった部分も影響しているんだと思う。
一次炭化物はでかくて量も多い。繊細な刃付けには向かないだろう。ザラっと研いで使うのがよさそうだ。
炭化物がジャリジャリしているので、基地の硬さと粘りのバランスが取れてないといけない。積極的に二次硬化する鋼種でないので、230℃近辺で焼き戻すのがいいのかもしれない。
マトリックスアイダのD2の熱処理はなかなかいいと聞くが、案外そんなところなのかもしれない。
D2に適した熱処理がされているということが推察される写真ですね。
返信削除面白いですね~
今まで想像でしか分からなかった事が、実際自分の目で見えてくると面白いですw
返信削除これはまた、興味深いですね~
返信削除SLDをATSの条件で熱処理出してみようかと思ってたとこでした
なるほど、焼入れで過熱になってしまうんですね
どうやら今まで通り普通にSLDとしての熱処理が良さそうだ
そう言えば、うちにもフルサイズのコンター来ましたよ
まだ使ってないけど・・・
C量に対してMoやVみたいな炭化物傾向が大きい元素の含有量が多いと、焼入れ温度が高くなります。
返信削除D2はC量の割にそういった元素の含有は少なく、大半がCrの炭化物なので焼入れ温度は低目の様です。
逆にATS34はMoの量が多く焼入れ温度は高目です。
僅か30~40℃の違いですが、それによって硬さが十分でなかったりオーバーヒートになったりと、結構微妙なんですね。
あひるさんち、コンターなかったんですか?・・・ちっと意外でしたw
ATS-34なんて古いね。
返信削除今や時代はSLD-MAGIC。
ナイフの切れ味って鋼と有機物の相互作用
も重要ですね~。
SLD-MAGIC金型用にはいいのかもしれないけど、所詮溶製鋼なんで一次炭化物はでっかくてどうかと思いますね。
返信削除ルパン三世のマモーの正体。それはプロテリアル安来で開発されたSLD-MAGICという高性能特殊鋼と関係している。ゴエモンが最近新斬鉄剣と称してハイテン製のボディーの自動車を切り刻んで、またつまらぬものを斬ってしまったと定番のセリフ言いまくっているようだ。話をもとにもどそう、人工知能の解析などを通じて得た摩耗の正体は、炭素結晶の競合モデル/CCSCモデルとして各学協会で講演されているようだ。
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