鉄工ヤスリでナイフを作る。必要なのは、手間と時間と根気と努力・・・ 自作ナイフなんて物好きのやる事だなぁ・・・

2017年4月20日木曜日

D2って・・・

D2(日立のSLD)のテストピースを作った。
マトリックスアイダでD2の条件とATS34の条件で熱処理してもらった。

先ずは生材の組織を。
横の画角がちょうど100μm。
たまたま一次炭化物の濃い部分を撮影した事もあって、えらくでっかい炭化物が沢山写ってる。大きなものでは20μm近くありそうだ。
横方向が圧延方向になる。この大きさでは拡大しすぎて分かりにくいが、倍率を低くすると圧延方向に縞模様になっている。
Ⅾ2の条件で熱処理。
エッチングの具合や撮影箇所の都合で、生材と雰囲気が違うが、基本的に大きな違いはない。

ATS34の条件で熱処理。
ちょっとわかりにくいが基地の鉄にひび割れの様なものが見られる。
SLDをATS34の条件で焼入れすると過熱になる。
基地の結晶が成長して、粒界がひび割れの様に写っている。なんでこんな事をやってるかというと、これが見たかったから。
もうちょっとはっきり写真に撮りたかったが、表面の研磨とエッチングに工夫が必要だな・・・

D2は炭化物の主体がCrによるものなので、炭化物自体はMoやVなどのものから比べると硬さは低い。研ぎやすいとよく言われるが、そういった部分も影響しているんだと思う。
一次炭化物はでかくて量も多い。繊細な刃付けには向かないだろう。ザラっと研いで使うのがよさそうだ。
炭化物がジャリジャリしているので、基地の硬さと粘りのバランスが取れてないといけない。積極的に二次硬化する鋼種でないので、230℃近辺で焼き戻すのがいいのかもしれない。
マトリックスアイダのD2の熱処理はなかなかいいと聞くが、案外そんなところなのかもしれない。

2017年4月17日月曜日

熔接してきた

コンターの刃を手に入れた。
昨日ベテランメーカーさんのところに行って熔接してもらった。
しかし噂に聞いてはいたが凄い工房だった・・・あの環境で、あんな素晴らしい作品が作られているとは・・・

フラッシュバットで突合せ熔接するのだが、ちょっとしたコツやノウハウが必要の様だ。見ていて興味深く面白い。
熔接しても、くるっと巻いて持って帰ればいいと思っていたが、10㎜幅だと捻る事ができないから小さく巻けないんだな・・・
できるだけ小さく畳んで段ボールを被せて持って帰ってきた。電車じゃなくてクルマで行くべきだったw


 切れたらまた継いで使う事を考えて、テンションぎりぎりに長目に作った。テンションが効くか心配だったが、なんとか大丈夫だったw

 シースナイフだと厚めの鋼材だから10㎜幅がいいだろうとの事で10㎜幅の刃を買った。
歯数をどうするべきかと迷ったが、とりあえず一番細かい18山にしてみた。
鋼材切ってみた。4㎜厚のATS34でも楽ちんに切れるなw
転輪の状態が心配だったが、この状態でも十分使える。
歯数はもうちょっと粗くてもよかったかもしれない。

自分にとってナイフ作りでの一番高くついてた消耗品は金鋸の刃だった
コンターの刃もそれなりに高価な物だが、耐久性や効率を考えるとコンターがあった方が安上がりでいいのかもしれない。
いいもの貰ったw

2017年4月10日月曜日

組めた・・・

横フライスのベアリングが来た。
精度等級の高い物を使うべきかと思ったが、軸ぶれがあったりするので意味がなさそう・・・
結局普通の等級にした。


アウターレースを圧入する。
前側のはユルユル状態だったので、ロックタイトを塗って取り付けた。

 プレスでインナーレースを軸に圧入。

 軸を組み込みプレロードを調整する。















謎なのがオイルシール。
内径外形とも微妙に規格と違っていて、シールが裏返しに付けてあった。
多分サイズが合ってないので無理くり付けてあったのだろう・・・

やけくそでプレスで無理くり押し込んだらくっ付いた・・・まあいいかw
組み上げて軸のぶれを見た。
先端で0.2㎜程振れてるだな・・・
鉄パイプ咬ませて矯正する。
組み立てクランクの心出しを思い出す
0.02㎜まで追い込めた・・・
シースナイフのヒルト作るには十分だw

とりあえず稼働できる様になった。
置き場所作らなければ・・・

2017年4月8日土曜日

カーショウのシース

組長に頼まれてたカーショウのシースがやっと出来上がった。
猟期はとっくに終わってる・・・
ごめんなさい~

 カーショウの1034ってモデルらしいが、なかなか味があっていいな。
使ってみると意外といい。
でもちっとでっかすぎるかな・・・
 ラブレスポーチタイプでは、これだけでかいシース作ったのは久しぶりだな。
腰に差してたら抜けないんじゃね?
自分にとっては1030の方が大きさはちょうどいいな。
明日組長に会うから渡してこよう・・・

2017年4月7日金曜日

バラバラに・・・

 横フライスはとりあえずオイルを交換して動作確認。
ベッドはガタもなく、動作はしっかりしている。

 念のためダイヤルゲージで軸のぶれを見てみた。
先の方で0.2㎜程振れてるだな・・・
よくよく調べると軸方向にガタがある。プレロードが掛かってない。

 プレロード調整は何処でやるんだ?と調べると、裏のプーリーを外した所にあった。クルマのハブと構造は全く同じだな。
締め込んでみるが、ネジ山にゴミが入ってスムースに行かない・・・
 折角だからと軸を外してみた。
前側のベアリングのアウターレースはすぽっと抜けちゃった・・・
もうやけくそでベアリングも抜き取ったw


プレロードが掛かってない状態で使っていたためか、ベアリングは大分傷んでいる。
しょうがないから交換しちゃおう・・・









ケース内はスラッジがえらい事になってた。
バラして見てよかったw
ベアリング手配しないといけないな・・・

2017年4月6日木曜日

鉄の塊・・・

ちょっと前にベテランナイフメーカーからコンターを貰っていた。
かなり古い物で、筐体は鋳物で出来ていてえらく重たい・・・
とりあえず分解できるところは分解して大掃除。














ギヤボックスのフューラーボルトがなくなっていて開きっぱなしだった・・・
ゲージを見るとオイルは入っているが、どうなってるのか・・・
ドレインから抜いてみたら金属粉一杯の汚いオイルが出てきたw
真鍮粉らしきものが沢山出てきたが、ギヤは真鍮製なのか?
デフ用のオイルを何回か入れては捨ててを繰り返して、できるだけ中をきれいにする。










転輪の駆動側は表面のゴム(?)が完全に剥がれていて、大分表面が摩耗している。
このままじゃ滑ってうまく鋸刃が回りそうにない。
上のテンション側の転輪はまだ表面が残っていたので、こっちを駆動側に使ってみよう・・・






工場の片隅を片付けて設置した。
当初は車輪でも付けて工場内を移動できる様にしようかと思ったが、何とか設置出来て助かった。
問題は熔接機が付いていない事。
TIGで熔接も考えたが、熱影響部の問題があるからフラッシュバット でないと難しそうだ。
とりあえず鋸刃買ったらメーカーさんのとこ行って熔接してもらおう・・・

さてもう一つ、こっちはどこに置くか・・・

2017年4月4日火曜日

補足

前回貼った組織写真の補足。

ATS34
生材と熱処理条件の違う写真を撮ったが、若干の様子が違う様に写ってる。表面研磨やエッチング、観察箇所の違いにより写りに変化があるが、基本的にどれも生材と様子は同じである。
適正範囲で熱処理されていれば、熱処理の前後では大きな違いは見られない様だ。
過熱があれば基地の鉄の結晶粒度が大きくなって網状の模様が出ると思われるが、どれも適正範囲であるのでその様なものは見られない。
大きな不規則な形状で白く写っているのが、共晶炭化物とか一次炭化物と呼ばれるもの。
基本的に加熱しても溶ける寸前まで変化はしない。通常の熱処理では変わる事がない。
ATS34の場合で大きい物で10数μmの物がゴロゴロ分布している。
若干濃淡があり分布にはバラつきがある。
炭化物は硬く脆い。耐摩耗性に寄与するが刃先に巨大な炭化物が出る場合、欠けたり脱落しやすいので、精緻な刃付けには向かなくなる。
一次炭化物は溶製の高合金鋼は宿命の様なもので、大なり小なり大抵のステンレス刃物鋼には存在する。

CRMO7
剃刀用鋼という事で結構組織は細かい。
一次炭化物がないという事がうたい文句になっているが、観察すると明らかに一次炭化物と思われる大きめの炭化物が所々に見られる。
概ね3μm前後ではあるが、ところによっては10μm近くあるものも見られる。
自分の持っていたCRMO7がたまたま大きな炭化物を含む物だった可能性もあるが、経験的に今までいくつか使ったCRMO7で磨いたブレード表面に、ATS34程ではないが僅かに縞模様が出る物があった。
炭化物の濃淡が圧延方向に模様として出ているのでは?と考えていたが、どうやら一次炭化物が僅かながら含まれているからだったのだろう。
剃刀材の場合は0.何㎜厚のリボン状に圧延しているので、ナイフ用の帯鋼材とでは圧延比も違うだろうから、組織の細かさに違いがあるのかもしれない。
CRMO7はMo含有量が炭素量の割に多いので、焼入れ温度は高目にする必要がある様だ。

ZDP189
熱処理条件の違う3枚を載せたが、若干様子が違う様に見えるが、これもエッチングや観察箇所の微妙な違いでそう見えるだけで、実際にはそれほど大きな変化はない。
目につくのは3μm前後の丸い炭化物で、それなりに一様に分布している。
粉末鋼のもとになるガスアトマイズによる粉末の粒度は概ね100~300μmらしい。
おそらくこの3μm前後の炭化物は溶製鋼の一次炭化物に相当するのだろう。
一次炭化物の様に簡単には固溶しないのであれば、ピン止め効果で基地の鉄の結晶成長を阻止できる。
HIP処理で固める事ができるのも、これが効果的に働いているからなのだろう。
ZDP189は炭素量に対してCr以外の合金含有量は少ない。
炭化物の多くはCrによるものなので、それほど硬いものでなく耐摩耗性がよすぎるわけでもない。
それとZDP189は基本的に焼き入れ温度は比較的低い。
マトリックスアイダのATS34の熱処理条件は焼入れ温度が高目で、ZDP189にはオーバーヒートになるのではと思っていたが、組織はとくに過熱による異常は見られない。
これも炭化物によるピン止め効果によるものなのだろう。おそらくHIP処理温度までは焼入れ温度を上げても問題ないと思われる。

SPGⅡ
これも生材と熱処理したもので若干様子が違う様に見えるが、本質的には違いはない。
ZDP189に比較して、見える炭化物は形状がやや不規則で、分布もややムラがある。
V含有量が2%程度あるので炭化物はかなり硬い。
SPGⅡはものにより磨きにくい事があるが、もしかしたら炭化物の形状や分布にバラつきがあるのかもしれない。
SPGⅡは実際使っていると刃先が明らかに劣化してきていると思われるのに、何故かまだよく切れると言う事がある。
多分刃先が劣化してきても、硬い炭化物が出てきて切れ味に寄与しているんだと思う。
単純に比較はできないがSPGⅡはATS34とS30Vの中間的な位置付けになるんじゃないかと感じてる。

S30V
使った感じでは炭化物がかなり大きいんじゃないかと思っていたが、実際はそれほどではなかった様だ。
V含有量が4%にもなるので、炭化物は非常に硬いものが大量に分布しているのだろう。
基地の鉄自体はそれ程硬くはないが、硬い炭化物が大量にあるため切れ味はこれによるもので、ちょっと癖がある。SPGⅡをかなり極端にした印象だ。

カウリY
思ったより炭化物が大きめだ。
形状は比較的揃っていて、分布も比較的均一の様だ。
カウリYで作った感じは、磨きやすく変に癖がなく扱いやすい印象だった。
実際使った感じは、研ぎやすくそこそこ長切れして使いやすい。
Vは1%程度の含有なので、硬い炭化物の量は抑えられているからなのかもしれない。
ATS34、SPGⅡ、S30Vと比較するなら、ATS34に近い感じだ。
V量が抑えられているので熱処理で硬さは出やすい。極低温の焼き戻しだとHRc65程度出て、二次硬化する高温焼き戻しなら62程度になる様だ。
錆びるという程ではないが、水分が表面に付着したままだと、曇る様に極薄く腐食する事がある。何故かは分からない・・・
自分にとってはかなり理想に近い鋼材だ。しかしもう入手できないのが残念。

カウリX
組成が似ているはずのZDP189から比較すると、炭化物の形状が不規則だ。
ZDP189とは使った感触は結構違いがあるのかもしれない。
カウリYと同じメーカーの鋼材なのに、炭化物の形状や分布の状態が違うのが興味深い。

CV134
炭素量とVの含有量が多いので、硬い一次炭化物がジャリジャリしているんだろうとは思っていた。
研ぎ上げて滑らかな刃を付ける用途には向きそうにない。そもそも砥石を使って手で研ぐには大変そうだ。
用途によってはいいのかもしれないが、自分の好みではないな・・・


組長の娘さんに使ってもらってるHMS67の小ナイフ。
ワンコ用の鹿ジャーキー作るのに猟期中使ってた。
解体に使ってたわけじゃないのでそれほど刃は傷んでなかった。なかなか使い方も上手かったってのもあるみたいだ。

案外HMS67がナイフ用に手に入るステンレス鋼の中では、一番組織が細かいかもしれない。
より炭素鋼に近い組織のステンレス・・・そんなものがあればいいのだが・・・















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