鉄工ヤスリでナイフを作る。必要なのは、手間と時間と根気と努力・・・ 自作ナイフなんて物好きのやる事だなぁ・・・

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2016年3月19日土曜日

S30V

ちっと覚書代わりにくだらない事でも書いてみる。

今猟期はS30VのドロップとSPGⅡのセミスキナーを主に使った。
前にもちょっと書いたが、S30VはSPGⅡに似たところがある。
VとMoの比率が僅かに違うだけで組成はよく似ている。
S30Vの方がVの比率が多い事と炭化物自体の大きさがが大きい様で、SPGⅡを極端にした様な印象だ。
Vの炭化物は他の炭化物から比べても最も硬いものらしい。
そんなものがジャリジャリ入ってるS30Vは耐摩耗性は確かにいい。
高温焼き戻しで使ったのでせいぜいCRMO7と同じ程度しか硬さがないが、使ってみると確かに長い事よく切れる。
おそらく機械でザッと研削してバフで仕上げるやり方だと、刃持ちはとてもいいのかもしれない。

機械での研削とバフ仕上げは、研削による加工だけでなくバニシ効果によって塑性変形も伴うので、刃先に炭化物を掻きよせる様に研ぎ上げられる。
ところでスナックナイフってのがある。あれって刃先にポイントが沢山並んだ様なものだ。尖ったポイントが切る対象に刺さって、これを起点に切れ込んでいく。
刃先に掻きよせられた炭化物はこれをミクロレベルにした様な効果があるんだと思う。
刃先に出た炭化物は使ってるうちに脱落しても、基地が摩耗する事で炭化物が出てくるので切れ味が持続する。
S30Vで一猟期中全く研ぎ直ししなくても使えたって様な話を聞くが、もしかしたら機械による刃付けなら可能なのかもしれない。
砥石を使って手で研いだのでは、なかなかこの様な刃先は作れない。

S30Vのジャリジャリとした硬い炭化物では、木を削って滑らかな木肌を出したり、刺身包丁の様に綺麗な切断面を出すといった、研ぎ上げて滑らかな切れ味を必要な用途には向かないだろう。
S30Vと対局にあるのがZDP189だと思う。
ZDP189は炭化物のほとんどがCrによるものなので、炭化物はあまり硬くはない。S30Vなどから比べても、その大きさはちょっと小さい。基地が硬いだけで研ぎにくいってのはあるが、炭化物がそれなりに小さく硬くもないので、研ぎ上げるとそこそこ精緻な刃が付く様だ。
ミラーがきれいに仕上がらないとか研磨が大変だって鋼材は、研ぎ上げても滑らかな刃先にはならないのかもしれない。
適した研ぎ方ってのは鋼材によって違うものなのだろう。
S30Vの様な鋼材は高番手の砥石まで研ぐのでなく、中砥程度でザラッとした刃付けで使うのがいい様だ。

以上は使ってみて思った事なので、考えがあってるかは分からない。
まあどうでもいい事なのかもしれないな・・・












2008年5月7日水曜日

刃物の材料

包丁やナイフなどの刃物に適した材料ってなんだろうって考えてみる。
刃物(旋盤のバイトやドリルの刃は除く)の材質に要求される要素は、大雑把に考えると以下の様になると思う。
 
①鋭い刃先を作れる事。
②鋭い刃先を作るのが容易である事。
③使用してる間、鋭い刃先を長く維持できる事。
④使用して刃先に摩耗や変形があっても、切味に影響が出にくい形状なる事。
 
①は組織が細かい事が必要。荒ければその粒径が刃先に現れ、ポロポロ抜け落ちるので、鋭い刃先を作る事が出来ない。
②は要するに研ぎ易いと言う事。硬すぎたり耐摩耗性が良すぎたりすると、研ぎにくいのは当然の事だが、柔らかすぎても返りがいつまでも取れないので研ぎにくい。
③は変形しにくいと言う事。硬さと耐磨耗性が必要になる。変形しにくいと言う点では、塑性変形だけでなく、弾性変形も重要だと思う。この点でチタン系の素材は鋼に劣る。(チタンのヤング率は鉄の約半分)
あと硬さと耐磨耗性だけでなく耐蝕性も重要だ。錆びてしまえば当然刃先の鋭さはなくなってしまう。
④はちょっとわかりにくいが、よく考えると以外と重要なのかもしれない。例えば使用過程において刃先が潰れる様に変形していった場合、潰れた部分は広がって刃先のrは徐々に大きくなるが、潰れた先が適度に摩耗や脱落があれば、この広がりがなくなって刃先のrの大きさの変化が少なくなる。つまり徐々に切味は悪くはなるが、それにかかる時間が長くなる。長切れするという要素にはこの事も関わっている様に思う。

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