鉄工ヤスリでナイフを作る。必要なのは、手間と時間と根気と努力・・・ 自作ナイフなんて物好きのやる事だなぁ・・・

2014年5月14日水曜日

実は面白そうだ・・・

今月は珍しくナイフマガジンを買った。(榊原さんの記事があったからだった・・・)
武生特殊鋼材の特集でコアレスの紹介があった。

自分はコアレスを誤解をしていた様だ。
2種類の鋼材が熱処理した後に硬さの違いが出て、鋸刃効果が出るのかと思っていたが、どうも違う様だ。
VG10とVG2の2種類の積層らしい。

昨年の鍛造部会の展示会で1枚買っていた。
買ったはいいが、VG10 とVG1の積層だと思っていたので、それだと組織からして自分の使い方には合わないとも考えていた。

VG10の問題点は一次炭化物(共晶炭化物)がある事だ。
イメージとしては細かい炭化物(二次炭化物)が分散してる中に、所々巨大な炭化物(一次炭化物)がゴロゴロ入ってる感じ。
VG2はCとCrの含有量からして、一次炭化物が少ない(もしくはほとんどない?)鋼材の様だ。

いくつか知りたい事があって武生に電話して聞いてみた。
買ったコアレスは約3mm厚だが、層数は70層なんだそうな。実際は工程の途中で磨くので、若干層数は減っているらしい。
3mmで70層だとしても、1層あたり40μm程度か。積層する元の鋼材は無論ペラペラに薄い物を貼り合わす訳ではないので、相当の圧延比になりそうだ。実際その事を聞いたら、かなり元の大きさは大きい物を圧延しているらしい。
このぐらいの圧延を掛けるとVG10の一次炭化物も粉砕されて、かなり細かくなるらしい。詳しい粒度が聞けなかったが、二次炭化物と遜色ない程度の大きさにはなっているとの事だ。

VG10とVG2の積層にしたのは、単に模様出しに適していたかららしい。
詳しくは聞かなかったが、ひょっとしたら低炭素含有の鋼材との積層がいいのかもしれない。
圧延の工程で高炭素の側から低炭素の側へ炭素は拡散が起こる。H工業のカタヤキさんに聞いたが、積層鋼は焼入れの時に芯金の炭素が皮金に拡散して、硬さが出なくなる事があるそうだ。
VG10の一次炭化物は余分な炭素量のためにあるともいえるので、拡散は一次炭化物の細粒化に、VG2の層は拡散してきた炭素により、熱処理時に硬さを得るのに役立つと思われる。
おそらく積層したVG10とVG2の層では、さほどの硬さの違いはないのではなかろうか。
若干耐磨耗性の違いはあるかもしれないが、思ったほど鋸刃効果は出ないと思われる。
それよりも炭化物と組織の微細化が最大の利点ではないだろうか。

買ったはいいが大して興味を持てないでいたのだが、よくよく考えると面白そうな鋼材だ。
溶製鋼の一次炭化物が何処まで細かく出来るかに興味があった。
単に巨大なインゴットを鍛錬整形するよりは有効な手段かもしれない。ちょうど折り返し鍛錬とやってる事は同じだ。
実際いいのかどうかは使ってみないと分からない。
3incぐらいのセミスキナーでも作って使ってみるか・・・


4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

作ったら、普通に使えるから
作ったらいいんだよw
V10は優秀な鋼材やで
大きな板やから、小さいのは
勿体無い気がするなw
デ

ものずき さんのコメント...

使いやすい大きさってのがあるからな。ギリギリに使えばいいてっものでもないw
VG10の無垢材については色々聞いてると、懐疑的に見ていただよ。
まあ、いいか悪いかは使ってみないと分からないからなw

匿名 さんのコメント...

カタヤキさんの話は興味深いですね。
そんなことが起きるんだ~

ものずき さんのコメント...

余程芯金が薄くなければ問題ないと思われます。
大抵の積層鋼の芯金は結構厚いので、実用上は大丈夫じゃないかとw

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