HAP40の包丁研いでみた。
なんだか砥石の掛かりが悪い・・・
硬いのか耐摩耗性がよすぎるのか・・・両方って感じだな。
1000番→5000番→12000番と掛ける。
刃先の一部だけちょっとエッチングして、顕微鏡で観察してみた。
研磨が今一なのと平面でないのでちっと分かりにくいが、まあ炭化物の様子だけは知る事が出来た。
600倍で横幅がちょうど100μm。
思ったより炭化物は細かかった。見えるのは概ね3μm前後の大きさの様だ。粉末鋼である事は間違いないな。
やや不規則な形をしているが、ナイフや包丁に使うには悪くなさそうだ。
ついでに刃先も観察してみた。
12000番の前の目が結構残ってる感じ・・・
かなり硬い感じがするし、見たところ粘りは少ない感じがする。
あまり雑な用途には向かないかもしれないが、包丁の様に無理な使い方をしない用途にはいいのかもしれない。
今度もうちょっと磨いて、エッチングも工夫して見直してみよう。基地の結晶粒も見れればいいのだが・・・
マトリックスアイダ行ったら、銀座のショーの案内もらった。
来年2月11日らしい。
行けるかな・・・
鉄工ヤスリでナイフを作る。必要なのは、手間と時間と根気と努力・・・ 自作ナイフなんて物好きのやる事だなぁ・・・
2017年8月9日水曜日
結構硬いな
RWL34のドロップが熱処理から上がってきた。
一本目をマトリックスアイダでCRMO7の条件で出した後、残りの一本もすぐに磨き終わってATS34の条件で出していた。
酸化被膜を落とすために600番を掛ける。
CRMO7の条件はかなり硬い感じ。
ATS34の条件もATS34と比べるとちっと硬い様だ。
硬さを測ってみた。
CRMO7の条件でHRc63.7あった。
ATS34の条件ではHRc62.2ある。
タングがATS34を熔接してあるので、この部分を測ってみると、CRMO7の条件でHRc62.5、ATS34の条件でHRc60.3だった。
組成はATS34と大きくは変わらないが、粉末鋼である事から硬さが出しやすいのかもしれない。
カウリYもCRMO7の条件でHRc65で、ATS34の条件でHRc62だった。
Vの含有が多いSPGⅡやS30Vは真空炉だと硬さが出にくい問題があったが、RWL34だとその問題はなさそうだ。
やはりVは入っていても、せいぜい1%程度に抑えてあった方が使いやすくていいな・・・
簡単にエッチングして組織を観察してみた。600倍で横の画角が約100μm。
先ずはCRMO7の条件。
こっちがATS34の条件。
熱処理条件による大きな違いは見られない。
研磨やエッチングの状態の違いはあるが、前に見た生材と基本的に炭化物の様子も変わらない。
基本的にマトリックスアイダのCRMO7とATS34の条件の違いは焼き戻しにある。
SPGⅡの条件でやれば多分62~63の間になるんじゃなかろうか・・・
一本目をマトリックスアイダでCRMO7の条件で出した後、残りの一本もすぐに磨き終わってATS34の条件で出していた。
酸化被膜を落とすために600番を掛ける。
CRMO7の条件はかなり硬い感じ。
ATS34の条件もATS34と比べるとちっと硬い様だ。
硬さを測ってみた。
CRMO7の条件でHRc63.7あった。
ATS34の条件ではHRc62.2ある。
タングがATS34を熔接してあるので、この部分を測ってみると、CRMO7の条件でHRc62.5、ATS34の条件でHRc60.3だった。
組成はATS34と大きくは変わらないが、粉末鋼である事から硬さが出しやすいのかもしれない。
カウリYもCRMO7の条件でHRc65で、ATS34の条件でHRc62だった。
Vの含有が多いSPGⅡやS30Vは真空炉だと硬さが出にくい問題があったが、RWL34だとその問題はなさそうだ。
やはりVは入っていても、せいぜい1%程度に抑えてあった方が使いやすくていいな・・・
簡単にエッチングして組織を観察してみた。600倍で横の画角が約100μm。
先ずはCRMO7の条件。
こっちがATS34の条件。
熱処理条件による大きな違いは見られない。
研磨やエッチングの状態の違いはあるが、前に見た生材と基本的に炭化物の様子も変わらない。
基本的にマトリックスアイダのCRMO7とATS34の条件の違いは焼き戻しにある。
SPGⅡの条件でやれば多分62~63の間になるんじゃなかろうか・・・
2017年6月22日木曜日
楽しみ色々
川崎さんから受注会の案内を頂いた。ありがたや~
とても刀の注文はできないが、作品展示があるみたいだから時間見つけて見学に行ってみよう。
RWL34のドロップのタングはATS34の端材を熔接してみよう。

とりあえず切り出した。
こんなもんでまあいいか・・・
RWL34の切れ端で組織を観察してみよう。
磨いてみた。
SPGⅡなどから比べると、えらく磨きやすい。
Vの炭化物が少ないからだと思うが、こうも違うと驚きだ。
ひょっとしたらATS34より磨きやすいのかもしれない・・・
600倍で観察。
横の画角がちょうど100μm。
炭化物の粒の形状は結構そろってるが、比較的大きめだ。
見えている炭化物の大きさは、概ね5μm前後の様だ。
これらはおそらくMo主体の炭化物なので、Vによるものほど耐摩耗性は高くないと思われる。
75倍で見ると・・・
横方向が鋼材の長手方向になる。
鋼材はフラットバー形状で、おそらく長手が圧延の方向だと思う。
圧延方向による組織の流れ(メタルフロー)の様なものははっきりしない。
鏡面加工性はいいと思われる。
理想から言ったらもうちょっと炭化物が小さいといいのだが、しょせん粉末鋼もこの程度がいいところなのだろう。
S30Vの様に耐摩耗性が高すぎると、砥石で手で研いで使うには使いづらい。
Vが2%以上含有していると焼入れ温度が高い必要があったり、真空炉では硬さが出にくくなったりで使いにくい。
SPGⅡ、S30V、カウリYと使い比べてみて分かったが、Vが1%程度のカウリYが癖がなく一番使いやすかった。
しかしカウリYはもう製造されてないので仕方がない。
そんな中で期待したのがRWL34だった。
どんなものなのかは実際使ってみないと分からない。
ちょっと楽しみだw
とても刀の注文はできないが、作品展示があるみたいだから時間見つけて見学に行ってみよう。
RWL34のドロップのタングはATS34の端材を熔接してみよう。
とりあえず切り出した。
こんなもんでまあいいか・・・
RWL34の切れ端で組織を観察してみよう。
磨いてみた。
SPGⅡなどから比べると、えらく磨きやすい。
Vの炭化物が少ないからだと思うが、こうも違うと驚きだ。
ひょっとしたらATS34より磨きやすいのかもしれない・・・
600倍で観察。
横の画角がちょうど100μm。
炭化物の粒の形状は結構そろってるが、比較的大きめだ。
見えている炭化物の大きさは、概ね5μm前後の様だ。
これらはおそらくMo主体の炭化物なので、Vによるものほど耐摩耗性は高くないと思われる。
75倍で見ると・・・
横方向が鋼材の長手方向になる。
鋼材はフラットバー形状で、おそらく長手が圧延の方向だと思う。
圧延方向による組織の流れ(メタルフロー)の様なものははっきりしない。
鏡面加工性はいいと思われる。
理想から言ったらもうちょっと炭化物が小さいといいのだが、しょせん粉末鋼もこの程度がいいところなのだろう。
S30Vの様に耐摩耗性が高すぎると、砥石で手で研いで使うには使いづらい。
Vが2%以上含有していると焼入れ温度が高い必要があったり、真空炉では硬さが出にくくなったりで使いにくい。
SPGⅡ、S30V、カウリYと使い比べてみて分かったが、Vが1%程度のカウリYが癖がなく一番使いやすかった。
しかしカウリYはもう製造されてないので仕方がない。
そんな中で期待したのがRWL34だった。
どんなものなのかは実際使ってみないと分からない。
ちょっと楽しみだw
2017年4月4日火曜日
補足
前回貼った組織写真の補足。
ATS34
生材と熱処理条件の違う写真を撮ったが、若干の様子が違う様に写ってる。表面研磨やエッチング、観察箇所の違いにより写りに変化があるが、基本的にどれも生材と様子は同じである。
適正範囲で熱処理されていれば、熱処理の前後では大きな違いは見られない様だ。
過熱があれば基地の鉄の結晶粒度が大きくなって網状の模様が出ると思われるが、どれも適正範囲であるのでその様なものは見られない。
大きな不規則な形状で白く写っているのが、共晶炭化物とか一次炭化物と呼ばれるもの。
基本的に加熱しても溶ける寸前まで変化はしない。通常の熱処理では変わる事がない。
ATS34の場合で大きい物で10数μmの物がゴロゴロ分布している。
若干濃淡があり分布にはバラつきがある。
炭化物は硬く脆い。耐摩耗性に寄与するが刃先に巨大な炭化物が出る場合、欠けたり脱落しやすいので、精緻な刃付けには向かなくなる。
一次炭化物は溶製の高合金鋼は宿命の様なもので、大なり小なり大抵のステンレス刃物鋼には存在する。
CRMO7
剃刀用鋼という事で結構組織は細かい。
一次炭化物がないという事がうたい文句になっているが、観察すると明らかに一次炭化物と思われる大きめの炭化物が所々に見られる。
概ね3μm前後ではあるが、ところによっては10μm近くあるものも見られる。
自分の持っていたCRMO7がたまたま大きな炭化物を含む物だった可能性もあるが、経験的に今までいくつか使ったCRMO7で磨いたブレード表面に、ATS34程ではないが僅かに縞模様が出る物があった。
炭化物の濃淡が圧延方向に模様として出ているのでは?と考えていたが、どうやら一次炭化物が僅かながら含まれているからだったのだろう。
剃刀材の場合は0.何㎜厚のリボン状に圧延しているので、ナイフ用の帯鋼材とでは圧延比も違うだろうから、組織の細かさに違いがあるのかもしれない。
CRMO7はMo含有量が炭素量の割に多いので、焼入れ温度は高目にする必要がある様だ。
ZDP189
熱処理条件の違う3枚を載せたが、若干様子が違う様に見えるが、これもエッチングや観察箇所の微妙な違いでそう見えるだけで、実際にはそれほど大きな変化はない。
目につくのは3μm前後の丸い炭化物で、それなりに一様に分布している。
粉末鋼のもとになるガスアトマイズによる粉末の粒度は概ね100~300μmらしい。
おそらくこの3μm前後の炭化物は溶製鋼の一次炭化物に相当するのだろう。
一次炭化物の様に簡単には固溶しないのであれば、ピン止め効果で基地の鉄の結晶成長を阻止できる。
HIP処理で固める事ができるのも、これが効果的に働いているからなのだろう。
ZDP189は炭素量に対してCr以外の合金含有量は少ない。
炭化物の多くはCrによるものなので、それほど硬いものでなく耐摩耗性がよすぎるわけでもない。
それとZDP189は基本的に焼き入れ温度は比較的低い。
マトリックスアイダのATS34の熱処理条件は焼入れ温度が高目で、ZDP189にはオーバーヒートになるのではと思っていたが、組織はとくに過熱による異常は見られない。
これも炭化物によるピン止め効果によるものなのだろう。おそらくHIP処理温度までは焼入れ温度を上げても問題ないと思われる。
SPGⅡ
これも生材と熱処理したもので若干様子が違う様に見えるが、本質的には違いはない。
ZDP189に比較して、見える炭化物は形状がやや不規則で、分布もややムラがある。
V含有量が2%程度あるので炭化物はかなり硬い。
SPGⅡはものにより磨きにくい事があるが、もしかしたら炭化物の形状や分布にバラつきがあるのかもしれない。
SPGⅡは実際使っていると刃先が明らかに劣化してきていると思われるのに、何故かまだよく切れると言う事がある。
多分刃先が劣化してきても、硬い炭化物が出てきて切れ味に寄与しているんだと思う。
単純に比較はできないがSPGⅡはATS34とS30Vの中間的な位置付けになるんじゃないかと感じてる。
S30V
使った感じでは炭化物がかなり大きいんじゃないかと思っていたが、実際はそれほどではなかった様だ。
V含有量が4%にもなるので、炭化物は非常に硬いものが大量に分布しているのだろう。
基地の鉄自体はそれ程硬くはないが、硬い炭化物が大量にあるため切れ味はこれによるもので、ちょっと癖がある。SPGⅡをかなり極端にした印象だ。
カウリY
思ったより炭化物が大きめだ。
形状は比較的揃っていて、分布も比較的均一の様だ。
カウリYで作った感じは、磨きやすく変に癖がなく扱いやすい印象だった。
実際使った感じは、研ぎやすくそこそこ長切れして使いやすい。
Vは1%程度の含有なので、硬い炭化物の量は抑えられているからなのかもしれない。
ATS34、SPGⅡ、S30Vと比較するなら、ATS34に近い感じだ。
V量が抑えられているので熱処理で硬さは出やすい。極低温の焼き戻しだとHRc65程度出て、二次硬化する高温焼き戻しなら62程度になる様だ。
錆びるという程ではないが、水分が表面に付着したままだと、曇る様に極薄く腐食する事がある。何故かは分からない・・・
自分にとってはかなり理想に近い鋼材だ。しかしもう入手できないのが残念。
カウリX
組成が似ているはずのZDP189から比較すると、炭化物の形状が不規則だ。
ZDP189とは使った感触は結構違いがあるのかもしれない。
カウリYと同じメーカーの鋼材なのに、炭化物の形状や分布の状態が違うのが興味深い。
CV134
炭素量とVの含有量が多いので、硬い一次炭化物がジャリジャリしているんだろうとは思っていた。
研ぎ上げて滑らかな刃を付ける用途には向きそうにない。そもそも砥石を使って手で研ぐには大変そうだ。
用途によってはいいのかもしれないが、自分の好みではないな・・・
組長の娘さんに使ってもらってるHMS67の小ナイフ。
ワンコ用の鹿ジャーキー作るのに猟期中使ってた。
解体に使ってたわけじゃないのでそれほど刃は傷んでなかった。なかなか使い方も上手かったってのもあるみたいだ。
案外HMS67がナイフ用に手に入るステンレス鋼の中では、一番組織が細かいかもしれない。
より炭素鋼に近い組織のステンレス・・・そんなものがあればいいのだが・・・
ATS34
生材と熱処理条件の違う写真を撮ったが、若干の様子が違う様に写ってる。表面研磨やエッチング、観察箇所の違いにより写りに変化があるが、基本的にどれも生材と様子は同じである。
適正範囲で熱処理されていれば、熱処理の前後では大きな違いは見られない様だ。
過熱があれば基地の鉄の結晶粒度が大きくなって網状の模様が出ると思われるが、どれも適正範囲であるのでその様なものは見られない。
大きな不規則な形状で白く写っているのが、共晶炭化物とか一次炭化物と呼ばれるもの。
基本的に加熱しても溶ける寸前まで変化はしない。通常の熱処理では変わる事がない。
ATS34の場合で大きい物で10数μmの物がゴロゴロ分布している。
若干濃淡があり分布にはバラつきがある。
炭化物は硬く脆い。耐摩耗性に寄与するが刃先に巨大な炭化物が出る場合、欠けたり脱落しやすいので、精緻な刃付けには向かなくなる。
一次炭化物は溶製の高合金鋼は宿命の様なもので、大なり小なり大抵のステンレス刃物鋼には存在する。
CRMO7
剃刀用鋼という事で結構組織は細かい。
一次炭化物がないという事がうたい文句になっているが、観察すると明らかに一次炭化物と思われる大きめの炭化物が所々に見られる。
概ね3μm前後ではあるが、ところによっては10μm近くあるものも見られる。
自分の持っていたCRMO7がたまたま大きな炭化物を含む物だった可能性もあるが、経験的に今までいくつか使ったCRMO7で磨いたブレード表面に、ATS34程ではないが僅かに縞模様が出る物があった。
炭化物の濃淡が圧延方向に模様として出ているのでは?と考えていたが、どうやら一次炭化物が僅かながら含まれているからだったのだろう。
剃刀材の場合は0.何㎜厚のリボン状に圧延しているので、ナイフ用の帯鋼材とでは圧延比も違うだろうから、組織の細かさに違いがあるのかもしれない。
CRMO7はMo含有量が炭素量の割に多いので、焼入れ温度は高目にする必要がある様だ。
ZDP189
熱処理条件の違う3枚を載せたが、若干様子が違う様に見えるが、これもエッチングや観察箇所の微妙な違いでそう見えるだけで、実際にはそれほど大きな変化はない。
目につくのは3μm前後の丸い炭化物で、それなりに一様に分布している。
粉末鋼のもとになるガスアトマイズによる粉末の粒度は概ね100~300μmらしい。
おそらくこの3μm前後の炭化物は溶製鋼の一次炭化物に相当するのだろう。
一次炭化物の様に簡単には固溶しないのであれば、ピン止め効果で基地の鉄の結晶成長を阻止できる。
HIP処理で固める事ができるのも、これが効果的に働いているからなのだろう。
ZDP189は炭素量に対してCr以外の合金含有量は少ない。
炭化物の多くはCrによるものなので、それほど硬いものでなく耐摩耗性がよすぎるわけでもない。
それとZDP189は基本的に焼き入れ温度は比較的低い。
マトリックスアイダのATS34の熱処理条件は焼入れ温度が高目で、ZDP189にはオーバーヒートになるのではと思っていたが、組織はとくに過熱による異常は見られない。
これも炭化物によるピン止め効果によるものなのだろう。おそらくHIP処理温度までは焼入れ温度を上げても問題ないと思われる。
SPGⅡ
これも生材と熱処理したもので若干様子が違う様に見えるが、本質的には違いはない。
ZDP189に比較して、見える炭化物は形状がやや不規則で、分布もややムラがある。
V含有量が2%程度あるので炭化物はかなり硬い。
SPGⅡはものにより磨きにくい事があるが、もしかしたら炭化物の形状や分布にバラつきがあるのかもしれない。
SPGⅡは実際使っていると刃先が明らかに劣化してきていると思われるのに、何故かまだよく切れると言う事がある。
多分刃先が劣化してきても、硬い炭化物が出てきて切れ味に寄与しているんだと思う。
単純に比較はできないがSPGⅡはATS34とS30Vの中間的な位置付けになるんじゃないかと感じてる。
S30V
使った感じでは炭化物がかなり大きいんじゃないかと思っていたが、実際はそれほどではなかった様だ。
V含有量が4%にもなるので、炭化物は非常に硬いものが大量に分布しているのだろう。
基地の鉄自体はそれ程硬くはないが、硬い炭化物が大量にあるため切れ味はこれによるもので、ちょっと癖がある。SPGⅡをかなり極端にした印象だ。
カウリY
思ったより炭化物が大きめだ。
形状は比較的揃っていて、分布も比較的均一の様だ。
カウリYで作った感じは、磨きやすく変に癖がなく扱いやすい印象だった。
実際使った感じは、研ぎやすくそこそこ長切れして使いやすい。
Vは1%程度の含有なので、硬い炭化物の量は抑えられているからなのかもしれない。
ATS34、SPGⅡ、S30Vと比較するなら、ATS34に近い感じだ。
V量が抑えられているので熱処理で硬さは出やすい。極低温の焼き戻しだとHRc65程度出て、二次硬化する高温焼き戻しなら62程度になる様だ。
錆びるという程ではないが、水分が表面に付着したままだと、曇る様に極薄く腐食する事がある。何故かは分からない・・・
自分にとってはかなり理想に近い鋼材だ。しかしもう入手できないのが残念。
カウリX
組成が似ているはずのZDP189から比較すると、炭化物の形状が不規則だ。
ZDP189とは使った感触は結構違いがあるのかもしれない。
カウリYと同じメーカーの鋼材なのに、炭化物の形状や分布の状態が違うのが興味深い。
CV134
炭素量とVの含有量が多いので、硬い一次炭化物がジャリジャリしているんだろうとは思っていた。
研ぎ上げて滑らかな刃を付ける用途には向きそうにない。そもそも砥石を使って手で研ぐには大変そうだ。
用途によってはいいのかもしれないが、自分の好みではないな・・・
ワンコ用の鹿ジャーキー作るのに猟期中使ってた。
解体に使ってたわけじゃないのでそれほど刃は傷んでなかった。なかなか使い方も上手かったってのもあるみたいだ。
案外HMS67がナイフ用に手に入るステンレス鋼の中では、一番組織が細かいかもしれない。
より炭素鋼に近い組織のステンレス・・・そんなものがあればいいのだが・・・
2016年9月19日月曜日
硬いだな・・・
カウリYのドロップはマトリックスアイダでCRMO7の条件で熱処理してみた。
硬さを測ってもらったらHRc65もあった。タングに5か所計測した痕跡がある。おそらく平均を取ったのだろう。
データーシートではここまで硬さは出ないのだが、おそらデーターシートの値はサブゼロなしの条件なのだろう。
高温焼き戻しで62だったので、低温焼き戻しだとこのぐらいなのかもしれない。
SPGⅡとは比較的組成は似ているが、V含有量がSPGⅡが2%なのに対しカウリYは1%と低い。
VやMoの様な炭化物傾向の大きな元素が多く含有すると、焼き入れ温度を高くする必要がある。
SPGⅡは高温焼き戻しでHRc60、低温焼き戻しで61程度となる。
ちょっとした違いであるが、硬さがこれだけ違いが出るのが面白い。
磨いてみた。先ずは600番で酸化被膜を落として、次は1000番。
確かに硬い。サラサラしている。
しかし磨きにくい事はない。変に耐摩耗性がよすぎる感もない。
表面を観察する限りでは炭化物は比較的細かそうだ。
とりあえず2000番までやって終わり。
ここまで硬いと粘りがどうなのか気になる。ヘタすると脆くて使い物にならないかもしれない。
しかし熱処理前の生材の状態で、ATS34などと同じ程度の粘りがあったから大丈夫なのかもしれない。
基本的に生材で粘りがない鋼材は、熱処理しても粘りはなく脆い特性になる。
まあ使ってみなければ分からないけどねw
硬さを測ってもらったらHRc65もあった。タングに5か所計測した痕跡がある。おそらく平均を取ったのだろう。
データーシートではここまで硬さは出ないのだが、おそらデーターシートの値はサブゼロなしの条件なのだろう。
高温焼き戻しで62だったので、低温焼き戻しだとこのぐらいなのかもしれない。
SPGⅡとは比較的組成は似ているが、V含有量がSPGⅡが2%なのに対しカウリYは1%と低い。
VやMoの様な炭化物傾向の大きな元素が多く含有すると、焼き入れ温度を高くする必要がある。
SPGⅡは高温焼き戻しでHRc60、低温焼き戻しで61程度となる。
ちょっとした違いであるが、硬さがこれだけ違いが出るのが面白い。
磨いてみた。先ずは600番で酸化被膜を落として、次は1000番。
確かに硬い。サラサラしている。
しかし磨きにくい事はない。変に耐摩耗性がよすぎる感もない。
表面を観察する限りでは炭化物は比較的細かそうだ。
とりあえず2000番までやって終わり。
ここまで硬いと粘りがどうなのか気になる。ヘタすると脆くて使い物にならないかもしれない。
しかし熱処理前の生材の状態で、ATS34などと同じ程度の粘りがあったから大丈夫なのかもしれない。
基本的に生材で粘りがない鋼材は、熱処理しても粘りはなく脆い特性になる。
まあ使ってみなければ分からないけどねw
2016年8月24日水曜日
意外といい?
熱処理から戻ってきた。
カウリYだがマトリックスアイダでATS34として出していた。
無理を言って特別に硬さを測定してもらった。
高温焼き戻しなので60もいってれば上等と思っていたら、意外と高くて驚いた。
SPGⅡよりVの含有量が少ないので、硬さを出すには有利なのかもしれない。
とは言えMo・Vの含有量は多いので、焼き入れ温度が高い必要はある。マトリックスアイダの熱処理条件は思った通りちょうどよかった様だ。
三か所測定して平均を取ったか。
マトリックスアイダの熱処理業者の硬さ測定は、実際より控えめに出る。(横哲さんの勤めていた会社の校正された硬さ測定で確認している)
高C高Crのステンレス鋼やD2の様な鋼材は焼き戻し温度が230℃付近が硬さと靭性のバランスがいい。
しかし二次硬化する鋼材なら、高温焼き戻しで二次硬化させた方がさらに靭性は上がる。
短期的な切れ味なら低温の焼き戻しで硬さを高くするのがいい。
長切れさせるには疲労強度を上げなければいけないので、靭性を高める必要がある。
硬さと靭性のバランスが重要だ。

とりあえず600番を掛ける。
今回は酸化被膜がえらいだな・・・
とりあえず酸化被膜を落とした。
酸化被膜が付いていると錆びの原因になるので、なるべく早く落としてしまった方がいい。
さてここから先の研磨がどうか。
S30Vみたいに炭化物がでかいと嫌だな・・・w
カウリYだがマトリックスアイダでATS34として出していた。
無理を言って特別に硬さを測定してもらった。
高温焼き戻しなので60もいってれば上等と思っていたら、意外と高くて驚いた。
SPGⅡよりVの含有量が少ないので、硬さを出すには有利なのかもしれない。
とは言えMo・Vの含有量は多いので、焼き入れ温度が高い必要はある。マトリックスアイダの熱処理条件は思った通りちょうどよかった様だ。
三か所測定して平均を取ったか。
マトリックスアイダの熱処理業者の硬さ測定は、実際より控えめに出る。(横哲さんの勤めていた会社の校正された硬さ測定で確認している)
高C高Crのステンレス鋼やD2の様な鋼材は焼き戻し温度が230℃付近が硬さと靭性のバランスがいい。
しかし二次硬化する鋼材なら、高温焼き戻しで二次硬化させた方がさらに靭性は上がる。
短期的な切れ味なら低温の焼き戻しで硬さを高くするのがいい。
長切れさせるには疲労強度を上げなければいけないので、靭性を高める必要がある。
硬さと靭性のバランスが重要だ。
とりあえず600番を掛ける。
今回は酸化被膜がえらいだな・・・
とりあえず酸化被膜を落とした。
酸化被膜が付いていると錆びの原因になるので、なるべく早く落としてしまった方がいい。
さてここから先の研磨がどうか。
S30Vみたいに炭化物がでかいと嫌だな・・・w
2013年3月23日土曜日
暖かくなってきたし・・・
暖かくなってきて、やっとやる気が出てきた。
鋼材の切り出しをやろう。
3.5incのドロップはスーパーゴールドⅡで、ジュニアベアーは5.2mm厚のATS34。
スーパーゴールドⅡは縦に二つに切る形となったが、その途中で驚いた。
双方が反対に反って、互い違いによれてきた。
今までATS34やCRMO7では、この様に反る事はなかった。
やはり残留応力がかなりある様だ。
シャーリングで切ってるせいか?と思っていたが、もしかしたらそれだけが原因でないのかもしれない・・・
外形を鉄工ヤスリで成形。
加工性はATS34とほとんどかわらない。
タングの穴加工。
ジュニアベアーは約5mmもあって、そのままじゃ金鋸で切るのは辛いので、外周をドリルで穴あけしてから切る事にした。
とりあえずざっくり外形を切り出せた。
日が暮れてからスーパーゴールドⅡのドロップをバーナーで炙って焼きなましてみた。
薄赤くなる程度なで加熱し空冷する。
はたして残留応力の開放に効果があるのだろうか・・・
2012年5月27日日曜日
色々やってみないと・・・
当初はピンホールが出ないと思っていたが、高番手になってから極小さなものが何個か出てきた。ATS34から比べればかなり小さいものだった。
粉末鋼なので巨大な炭化物がないとはいえ、それほど細かくなっている訳でもない様だ。とくにMoやVによる非常に硬い炭化物であるので、基地から脱落しやすいのかもしれない。(硬さが低めだったせいもある?)
先日熱処理について知りたい事があったので、H工業のカタヤキ(?)さんに電話で聞いてみた。
質問の答えは思っていた通りのものだった。
やはり熱処理業者によって、それぞれノウハウがある様だ。鋼種による得手不得手もあるのかもしれない。
最終的には色々やって試してみないといけないな・・・と思ったw
2012年3月27日火曜日
期待していい?
ATS34より僅かに硬い感じがあるが、もっともATS34自体もロットによって生材の硬さはバラつきがあるので、ほとんど変わらないのかもしれない。
概ねヤスリでの加工性はいい。ATS34だといわれれば、わからないかもしれない。
手元の資料だとスーパーゴールドⅡは1.4%C、15.0%Cr、2.8%Mo、2.0%Vとなっている。
一般的にいわれてるATS34の組成と比較すると、僅かにCが多くMoがやや少ない分、Vが2%添加されてる。
Vは炭化物傾向が高いため、Vの大半は炭化物として鋼材中に分布してると思われる。実際資料には組織写真があるが、炭化物はそれほど細かくはない様だがが、大きさは揃っていて均一に分布している。Vによる炭化物は非常に硬いので、耐摩耗性はとてもよさそうだが、量が多すぎないのがいい。
ATS34の欠点は組織中に大きな炭化物が所々にある事だ。実用上は剃刀みたいに研ぎ上げなければ問題ないが、ピンホール状に錆びるのはこれが原因だったりする。
スーパーゴールドⅡは極端な組成でない分、硬すぎたり耐摩耗性がよすぎる事無く、バランス的に自分にとっては理想に近い鋼材ではないかと期待している。
2011年12月28日水曜日
拾い物
著作権の問題もあるので、ここに貼るのはどうかと思ったが、海外のあちこちのサイトに同じ画像が貼られているので、まあ大目に見てもらおう。
左上から13C26、440C 、CPM154、S30V、右上から19C27、ATS34、D2、VG10となってる。
みんなそれぞれ違う様子が面白い。
鋼はコンクリートに似たもので、セメントが鉄(と固溶合金元素)の生地に相当し、砂利や砂が炭化物(鉄や合金元素と炭素の化合物)に相当する。
写真の灰色の部分が生地で、白い部分が炭化物になる。
13C26は非常に炭化物が細かい。組成が0.68C・12.9Crということだから共晶由来のいわゆる一次炭化物がない鋼種なのだろう。CRMO7や銀紙5号、大同の1Kなどと同じ系統で、剃刀向けの鋼種の様だ。
19C27、ATS34、440C、D2、VG10は多角形で不規則な形状の巨大な炭化物がいわゆる一次炭化物。D2はともかくとしても、ATS34でも結構大きな物がはいってるんだな・・・
一次炭化物は耐摩耗性に役立つので一概に悪物とするわけにもいかないが、鋭利な刃先にこれが出るのは問題がある。剃刀の様な用途には向かない。
一次炭化物は溶製の高合金鋼では宿命みたいなものだ。炭化物自体が硬く鍛造比を大きくしても微細化には限界がある。また生地に固溶しにくいので大きなまま組織中に残ってしまう。
CMP154とS30Vは粉末鋼だが、炭化物の形状に違いがあって興味深い。
溶製鋼と違い巨大な不規則な炭化物はないが、剃刀用の溶製鋼と比べると意外に炭化物が大きい。
大抵の粉末鋼は合金元素が多いので、炭化物はかなり硬く耐摩耗性がいい・・・と言うか、よすぎる嫌いがある。炭化物でジャリジャリしてる感じか。
鋼材は組織の面から見ると、それぞれかなり違いがあって面白い。もっともざっと研いだだけの使い方では、その違いを体感するのは難しい。
硬さだけが重要じゃないんだよな・・・
誤解のない様に一応言っておくが、炭化物は細かい方がいいというわけでもなく、用途によってはでかい炭化物がジャリジャリしてるのも有効だ。要は用途によって鋼種に得手不得手があるわけで、また使う人の好みもあるからその選択は難しい。
12/29追記
VG10の写真もあったので画を差し替える。
余談だけど154CMの写真もあったが、見た目はATS34とよく似てた。
2011年4月17日日曜日
つれづれに思いつきを・・・
某掲示板で鋼材について話をしていて、ちょっと思いついた事を書いてみる。
ステンレス鋼などの高合金鋼で最大の問題は粗大な一次炭化物(共晶炭化物)が存在する事。
この事については大分前に書いた。(この時は共晶炭化物と書いたが、一次炭化物の方が一般的らしいので以降この名で書く事にする)
ステンレスの溶製鋼で一次炭化物をなくすには、13%CrとしてCは0.7%以下にする必要がある。この考えで作られているのがCRMO7などの剃刀鋼。
CrとCがこれ以上多くなると粗大な一次炭化物を含む事になる。
粉末鋼は一次炭化物を微細均一にする事が最大の目的だが、粉末にするのは急速冷却するためである。粉末一つひとつの内部の炭化物が細かくなり、その粉末を固めて作るから組織が細かくなる。
イメージとしては極小のインゴットを鍛接して固まりにしている様なもの。決して粉から作るから組織が細かいのではない。(ガスアトマイズ粉で平均の直径は100~300μm程度ある。)
粉末は熱間静水圧圧縮処理(HIP)によりインゴット化される。HIP処理だけでもそこそこ使える物ができるそうだが、このままでは靭性が十分でないので鍛錬圧延を行う。鍛造比を4以上掛けると靭性の改善は飽和するという。粉末表面には極薄い酸化皮膜があり、これが金属間の結合を阻害している。熱間加工により酸化皮膜が破壊されて靭性は改善される。(粉末鋼についてはこちらの記事も参照の事)
粉末鋼ってのはどこまで炭素鋼の様に炭化物を細かくできるのだろうか。
粉末ハイスと炭素鋼の組織写真を見比べると、どうも粉末鋼の炭化物は炭素鋼ほどには細かくない様に見える。
実際ZDP189と一次炭化物がないというCRMO7を研ぎ上げて比べると、ZDP189の方が炭化物が大きい様に感じる事がある。
粉末鋼だからといって、もの凄く細かくできている訳でなく、あくまでも巨大な一次炭化物がある溶製鋼から比べれば、細かくて均一であるという程度なのだと思う。
積層鋼においてランダムな模様を出すために鎚目を入れる事がある。
R2みたいに粉末鋼を加熱加工して大丈夫なのか?と思っていた。この様な物は実のところ今まで懐疑的に見ていた。
しかし実際使ってみた感じでは、組織の粗大化の様なものは感じられず全く問題がない。
なぜ大丈夫なのかと考えてみたが、粉末鋼に微細均一に分布する炭化物は、溶製鋼で言うところの一次炭化物に相当する物なのかもしれない。
一次炭化物は加熱しても簡単には固溶拡散しないので、ほとんど大きさが変化する事がない。生地(マトリックス)の結晶粒界にこれらが分布していれば、生地の結晶粗大化も防ぐ事ができるのかもしれない。
もっとも合金鋼における二次炭化物も固溶拡散の速度は炭素鋼と比較するとかなり遅いので、粉末鋼でなくとも溶製の高合金鋼は適切な温度範囲であれば、加熱しても簡単には炭化物や生地結晶の粗大化はおきないのかもしれない。
また積層鋼の場合、芯金が空気に晒される事がなく酸化や脱炭の影響がないのも、加熱加工しやすい理由の一つと思われる。(加工しやすいと言っても、鍛造可能温度と過熱領域の温度範囲は狭いと思われるので、温度を見極めるのは非常に難しく簡単ではないと思われるが・・・)
ステンレス鋼の様な高合金鋼は、炭素鋼と比較すると非常に高い温度で焼入れしている。
炭素鋼の感覚だと加熱により生地の結晶粒度が粗大化してしまいそうだが、これも炭化物の固溶拡散の速度が遅いからだった。(生地の結晶粒界に分布する炭化物は、γ結晶の成長を抑える)
高合金鋼の焼入れの冷却が空冷で硬化するのも固溶拡散の速度が遅いためだ。
「鉄は熱いうちに鍛えよ」というのがあるが、単に柔らかいうちに鍛えよという事ではなく、手際よく鍛えて加熱は必要最小限にしろという事なのかもしれない・・・(もとはイギリスのことわざらしいな)
思いついたまま書いたから、まとまりねえな・・・w
日本鉄鋼協会発行「工具鋼」。
工具鋼について専門に書かれた書籍って意外と少ない。この本は製鋼の歴史と、ハイスの開発の流れについて詳しく書かれている。
著者は日立金属の元技術者で、なかなか興味深い記載があり面白い。
2008年4月19日土曜日
粉末鋼に思う事
粉末を固めて作るから組織が細かくなる様な誤解があるが、組織を細かくしようとしたら粉末になったと考えた方がいい。
高合金鋼において、微細な組織=炭化物の微細化及び均一分布化には前(昨年6月)にも書いたが、凝固時の冷却速度を限りなく速くする必要がある。
このためにはガスアトマイズ法が用いられる。これは溶融原料に不活性ガスを噴きつけ噴霧し、急速冷却される事により粉末状の原料が得る方法である。
ガスアトマイズで得られる粉末の大きさは、大体100~300μm。
急速凝固した粉末一つひとつは、微細な組織を持つ事になる。つまり微細な組織を持つ粉末を固めるから微細な組織の鋼材ができるのであって、粉末を固めて作るから微細な組織の鋼材が出来る訳ではない。
粉末を固めるのが熱間静水圧圧縮法(HIP)による。これは粉末を金属カプセルに充填密封し、不活性ガスを用いて高圧を四方八方から掛けつつ、1100℃程度に加熱して圧密する。
カプセルに充填した時点では充填率は約65%程度であるが、高温高圧で圧密する事で100%の密度になる。
HIPの工程は単に焼き固めるのではなく、どちらかと言うと粉どうしを鍛接していると考えた方が正しい様に思う。HIPで固まりになった後は溶製鋼と変わらずに、鍛錬圧延の工程になり製品の形態に加工される。
HIPで固めたままでもある程度使えるものにはなるそうだが、鍛錬圧延の工程を経た方が靭性が改善されると言う。およそ鍛造比を4以上掛けると改善は飽和するとの事。これは粉末表面に残る酸化皮膜が影響してるらしい。
粉末鋼は粉を焼き固めて作るから靭性が劣ると言う様な誤解があるが、それは高硬さを狙った鋼種によるイメージから来てるのだと思う。硬さを低めに設定した鋼種ならば、均一微細な組織により溶製鋼より高い靭性を得れる。
2007年6月13日水曜日
粉末鋼
ナイフの業界では、ZDP189やカウリXの影響が強く、粉末鋼と言うと”高硬さ”のイメージだけが先走ってるが、肝心なのは組織の細かい事である。
ZDP189は研ぎ上げると、とてもに滑らかな刃が付く。しかし組織内の炭化物が非常に硬く、耐摩耗製が高すぎる事と、鋼自体の硬さも高すぎるので、研ぎにくいのが難点だ。(耐摩耗性と硬さは刃持ちのよさにつながるが・・・)
炭素鋼の良さはひとえに、適度な耐摩耗性と必要十分な硬さによる研ぎ安さにあると思う。
粉末鋼はステンレス鋼においても、組織を細かくして尚且つ硬さも得る事を可能にした。もっと硬さと耐磨耗性を抑えて、より炭素鋼に近いステンレス粉末鋼が入手できる様になると面白いのだが・・・
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